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アップルvsサムスン知財戦争とスマートフォンシェアの推移

   

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引用元:www.statista.com

2011年4月に始まった米国アップル社と韓国サムスン電子社の知的財産の侵害を争う裁判は、瞬く間に世界中に飛び火し「スマートフォン戦争」「知財戦争」とまで呼ばれるようになりました。日本でも史上8番目の知的財産高等裁判所大合議事件として扱われ、多くの人に記憶を残しました。そして2014年8月6日に米国を除く全ての地域でお互いの訴訟を取り下げることを両社が発表し、一旦の終結をみました。

個々の訴訟の争点や勝敗についてはすでに多くの先生が素晴らしい解説をされています。ここではスマートフォンシェアの推移とビジネス的な観点からこのアップルvsサムスン知財戦争を振り返ってみたいと思います。

知財戦争の発端はサムスンとアップルのシェアが逆転する瞬間

この知財戦争を先に仕掛けたのはアップルでした。これはある意味あたりまえのことです。冒頭に上げたグラフの2011年Q2を御覧ください。スマートフォン市場においてシェアトップとなったアップルにサムスンが肉薄したのがこの時でした。そしてこのとき、アップルが知財戦争の宣戦布告をするのです。

特許をはじめとする知的財産の侵害を主張して訴えを起こす理由は単純化すれば、競争相手の排除です。特定の特許などの知的財産を守ることはその手段に過ぎません。先行した企業が自らのマーケットを守るため、出現した競争者を排除しようと動くのは至極自然なことです。

タッチスクリーンを搭載したスマートフォンでスマートフォン市場のシェアトップに踊りでたアップルが、おなじカテゴリーの製品でシェアを伸ばし、トップの座を奪おうとするサムスンに対してこのタイミングで戦の火蓋を切ったのは振り返ってみると当然といえるかもしれません。

 

さらなる新興勢力の台頭が知財戦争を終わらせる

アップルとサムスンはその後も知財紛争でお互いを牽制しながらお互いにシェアを伸ばしていきます。しかし、その勢いも2012年Q1でアップルとサムスン2社でスマートフォン市場のシェアの約半分をとったところでピークを付け、その後2014年はじめまでお互いにシェアを奪い合う展開が続いていました。この間、お互いの牽制という意味で両社のビジネスにとってこの知財戦争は重要な意味を持っていました。

しかしこの間にLGやHuawai、Xiaomiといった新たなプレイヤーがすこしずつシェアを伸ばしていき、2014年Q2にはアップルとサムスン2社のシェアが落ち込む事態となります。

このタイミングで両社が米国以外の訴訟を取り下げたのは、この戦局の変化に対応したものとみることができます。これまで一騎打ちで戦っていたところが、プレーヤーが増えて戦局が変わり、一旦仕切りなおして戦力の分配を考え直すステージにはいったのでしょう。

 

知財戦争の意義と今後の展開

このアップルとサムスンの知財戦争を通じて、FRAND宣言された特許の取扱について様々な判断がくだされています。冒頭でも紹介した日本の知的財産高等裁判所の大合議事件もFRAND条件下での具体的なライセンス料の計算方法が示され注目を集めました。

米国での訴訟を継続したのもこの扱いについてどのような判断がくだされるかを確認し、今後の知財戦略の判断材料とするためかと思われます。この判決を踏まえて、今後は新たなプレイヤーや新たな市場でのビジネスについて知財を用いた戦略が実行されていくのではないでしょうか。

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